私のファシリテーションへの向き合い方(2015年版)

このエントリは『ファシリテーター Advent Calendar 2015』の22日目です。

2015年にも様々な場所でワークショップをする機会があった。プログラムもたくさん作ったし、ファシリテーションもした。とてもありがたい。その中で、自分なりにファシリテーションについて考えてきたつもりではあるが、現時点ではファシリテーションについては突き詰めて考えなくてよいという気持ちに落ち着いている。

もちろんみんな考えなくてよい、と言っているわけではなく、現時点の自分の状態としてそういう状態であるということだ。そんなことをとりとめもなくメモとして残しておこうと思う。

問いの解像度をコントロールする

ワークショップや協働の場でファシリテーターが行なうべきたったひとつのことは、問いの解像度をコントロールすることだ(と思っている)。ワークショップデザイナーは、プログラムを組む以前から、その場に適切な問いはなんなのかを考えている。前提条件として置くべき大きな問いを設定することがプログラムデザインだとすれば、ブレイクダウンした問いをリアルタイムに目の前に差し出し続けることがファシリテーションなのではないか。

問いと言っても、ワークショップ中に存在する問いの形は、禅問答みたいな形をしているわけではない。自分が場にいる時に感じるちょっとした What や Why は、断片的に存在しているように感じる。断片のパズルを組み合わせることで、問いの解像度をコントロールすることができるのではないだろうか、と考える。

京都 2013.02.09〜02.11

リアルタイムに問いを生成していく過程で、私たちは場に起こっていることを脳内あるいは心的風景の中で構造化している。それがパズルだ。構造化を行いながら、私たちは今そこにあるバイアスを見つける。テーマに対するバイアスだったり、参加者同士のバイアスだったり。問いを通じて場に存在するバイアスを見つけること、場に存在するバイアスの最大公約数を見つけることが重要で、問いを通じてそれらを適切に場に返していくことがその場においてのファシリテーターの重要な役割。

その場に存在するものを問いを通じて場に返していくためには、問いの解像度のコントロールが必要。適切な解像度で差し出さなければ、場に返すことはできない。

自身が瞬間的に内省するための問い

自分自身のバイアスを真っ先に知ることも鍵のひとつだ。ファシリテーター自身のバイアスは時として悪であり、時として重要なポイントとなる。少なくとも、場を支配する要素になり得る種類のものではある。自身の状態と場への影響を瞬間的に内省しながら、内省したものを場に返していくことで、不要なバイアスをできる限り排除し、有用なバイアスを場に留めることが必要なのである。

しかし、場にあるバイアスを可視化したり打ち壊したりすることがファシリテーターのやるべきことか、というとちょっと違う。バイアスに気付かせたりバイアスを壊したりすることは結果であって、目的である。目的にたどり着くには、手段が必要だ。ファシリテーターが場で行なうべきことは手段の遂行であり、目的の押し付けではない。ここを勘違いしている人は多いように感じる。

自分自身の内省として投げかける問いにも解像度コントロールが重要、ということなんだと思う。

スキル向上にも How ではなくて Why

ファシリテーションを技術としてテクニカルに向上させようとすると、たぶん失敗する。How ではなくて Why が大事な領域だからだ。だから、経験値として Why を重ねる訓練やたくさんの Why を構造化する訓練をしていれば、ファシリテーション技術を磨こうなんて思わなくても自然とできていく。

むしろそう考えないと、ファシリテーションのために必要なスキルの要素分解ができないのではないかな。本当にスキル向上が必要だと感じているのなら、要素分解してできることからはじめた方が効率がいいように思う。「効率など求めていない! スキルよりもマインドだ!」というならそれでもいいけれど、ファシリテーションは目的ではなく手段でしかないのだし、そこでもたもたするのは自己満足でしかない。そんなふうに言うなんてもったいないなぁ、と感じることも少なくない。

まとめ

最後に軽くまとめると、バイアスを壊すためにファシリテーターがやるべきことは、問いの解像度のコントロールだけだ、と考える。問いを突き詰める姿勢があればそれでいい。ワークショップ中に存在する問いを見つけ、適切な解像度に整え、問いの形で返していくこと。それが私のファシリテーションへの向き合い方だ。

なんだかんだとまとまりもなく書いてきたけど、私自身、ファシリテーターという立場ではまだまだひよっこ。常に自分自身に向ける問いの解像度をコントロールしながら、来年も適切な問いを返していけるように精進したい。

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