TDC DAY 2010
- 投稿日:2010年4月 4日 23:59
- カテゴリ:セミナー、勉強会報告
こんにちは、学校の校舎とかに入るとノスタルジックな気持ちになっちゃうHitoyamです。
デザインフォーラムTDC DAY 2010に行ってきたのでメモなどを、と思ったのですが、メモだけで膨大な量になってしまったので割愛。思ったことなどをさらっとだけ書いておこうと思います。
しかし7時間ほぼぶっ通しという怒涛のトークラン...な、なんて恐ろしいイベントであることよ...!!
セッション1) 和文 タイプデザイン
藤田重信さん(フォントワークス)と祖父江慎さんの出演で、漢字の品位と質感に最大限こだわった「筑紫オールド明朝」と、予想を超えたニーズの広がりを見せた「筑紫丸ゴシック」のお話などでした。
筑紫オールド明朝がひらがなやカタカナにに合わせて漢字がデザインされたフォントであるという話に、なるほどと思いました。払いやウロコに対するこだわりにはいちいち感心させられます。
書体を作る時に下書きをしないというのにも驚きました。だから制作が他所より速いかも、だそうです。
写植での潰れ防止のために交差部分をえぐるけど、デジタルではむしろ潰れたぐらいの方が自然に見えるという話も興味深かったです。ちなみに私は写植時代の古本を眺めるのが好きです。紙の品質のせいなのかどうか分からないけど、にじみとか潰れって本の個体によって全然違う感じですよね。コピー機で大きく引き伸ばすと、確かにジギジギになる(笑)。
このセッションの関連URL
セッション2) On RGB
川村真司さん、エキソニモ、中村至男さん、松本弦人さんによるトークセッションでは、何より、「日々の音色」の予算が限りなくゼロに近い状態だったという事実にビックリ。元々その音楽のファンの人たちに協力してもらい、一度自分たちで演じた振付ガイド用のデモバージョンを見て覚えてもらったんだそうです。コンテも60コンテ描いているとか。すごい。
RGB賞の選考段階でタイポグラフィかどうかという賛否があったようだし、トーク中に何度も「アウェイ」という言葉が出てきましたが、形としてのタイポグラフィにこだわらず見ていた人も多かったみたいです。もう実は新しくなくなっているのかもしれない「新しいメディア」がデザインフィールドに追い付いてきたのでは、という話が印象的でした。
個人的にエキソニモさんは受賞作品より、ボット向けアンケート QUESTIONNAIRE and ANSWERSの方にウケてしまいました。注意書きを無視して先へ進むと大変なことになるのでお気を付けください(笑)。
このセッションの関連URL
セッション3) ポスター
ニコラス・トロクスラーさんとラルフ・シュライフォーゲルさんのプレゼンのあと、服部一成さんとのトークでした。
ニコラスさんのポスター作品をたくさん見ましたが、どれもジャクソン・ポロックに通じるような躍動感があるなぁと思いました。アクションペインティングのように表現したいというような発言もあったので、納得。
「考えすぎてしまうと自分の思考がブロックされてしまう」、「ストレスがあるといい作品は生まれないので自分が自由であることが重要」という発言には非常に重みがありました。制作時間が短いかつ機嫌のよい時に作ったものの方がよいものができるそうです。
ラルフさんの話で面白かったのは、手仕事とコンピュータ仕事について。コンピュータのように均一な手仕事をしようとしてしまいがちだけれど、今は逆に小さな失敗やムラのような部分にこそ魅力があると感じられる。
だって、よくよく考えたらわざわざグラフィックでグランジ素材とか作っちゃう時代ですもんね...。コンピュータ臭さを消すことの方が、動きとしては断然強いのかもしれないですね。
あとシルクスクリーンの作品がたくさん出てきて、またシルクスクリーンやりたくなっちゃいました。自宅のクロゼットに眠っている印刷機、引っ張り出そうかな、とか。
このセッションの関連URL
セッション4) ブックデザイン
リエン・チエさんのプレゼンを祖父江慎さんが通訳してくださいました。私自身、学生時代はブックデザインを専攻していたので、気になるセッションでした。
リエンさんの作品はロモカメラで毎日撮った写真と24種類の暗号を用いた袋とじの本という、不思議すぎる本でした。あ、ちなみに写真はガールフレンドに撮ってもらったらしいですよ!
大学院の卒業制作ということですが、あんな大変な本を5冊も作ったのかと思うとそれだけで頭が下がります...考えただけで大変! 私なんか1冊作るだけでもぐったりだったのに...。
しかもミシン目は開けないと見られないから、展示している段階でピリピリ破かれる⇒完成品残らない...って、ああ、なんか考えるだけで切ない!
トイカメラを使っているということで、またまた手持ちのトイカメラで遊んでみたくなりました。あれもこれもやりたくなってしまって困る(笑)。
セッション4) 欧文 タイプデザイン
ホルガー・ケーニヒスドルファーさんのプレゼンにマシュー・カーターさんが特別参加という形でした。
マシューさんといえば、VerdanaとかGeorgiaとかメイリオの作者で有名です。実際、彼がいらっしゃるということで参加を決めた人もたくさんいたんじゃないかなぁ。
イタリック体はローマン体との違いがきちんとないといけないという話があって、当たり前のようですがなるほどなと思いました。和文でイタリックというと汚く潰れてしまうイメージがあるけれど、欧文では重要な要素ですよね。
マシューさんは学術プロジェクトとして成熟度の高いフォントが作られていることに驚いていたようです。スモールキャップの「S」と小文字の「S」の大きさについて質問をされていましたが、ドイツ語ではそれで問題ないとのこと。言語による違いも大きいのですね。
このセッションの関連URL
セッション6) タイポグラフィ+楽譜+ブック
浅葉克己さん、ジョン・ワーウィッカーさん、マシュー・カーターさんによるセッションは、図形楽譜についてのお話。ジョンさんの幼少期のお話がとても叙情的で素敵でした。
「ひとつのものがもうひとつのものに変形していく過程に感銘を受ける」という話が印象に残っています。アートやデザインに限らず、抽象化するスキルが必要になるシーンは少なくない。その中でどれだけイマジネーションを働かせることができるか、普段からもっと意識してみようかなと思いました。
このセッションの関連URL
セッション7) CF+タイポグラフィ+グラフィック
最後を飾るのは、アンドリュー・アルトマンさん、ジョン・ワーウィッカーさん、中島英樹さんのセッションでした。
4日間で仕上げる必要があったというガザ地区についてのトレーラー。検閲の問題をいかにシンプルにグラフィックで再現できるかを考え、表示される文字を追いかけるように伏せていくアニメーションを思い付いたそうです。可読性を保ったギリギリのバランスにとても緊張感がありました。
ガザ地区の深刻な状況を伝えるためにグラフィックが果たすことができる役割は、決して小さくないのだなと実感しました。少なくとも、デザインすることで、ジャーナリズムに寄り添うことはできるんだと思う。
しかし、社会問題を可視化することに対するアートとデザインの違いってどこにあるんだろう。なんて考えながら聞いていたのですが、トークの中で「アートだとかグラフィックデザインといった名称は便宜上のもので、実質は変わらないものになってくる」という発言がありました。
特にパブリックアートの例などは分かりやすくて、とても納得。社会や都市に関わっていけばいくほど、その傾向は強くなる気がします。「グラフィックデザイナーは自分以外の他人と常にチャンネルを合わせ、その中でできる最良のことを探している」という話もありましたが、パブリックアートだって同じことですよね。
このセッションが一番エキサイティングだったな。グラフィックの世界だけに関わらない話だったと思います。もっとお話を聞きたかったぐらい。「自分の魂と対峙することは100年かかっても素晴らしいこと」って、ジョン超かっこいい!
このセッションの関連URL
というワケで、7時間のトークラン終了...
長かった! 長かったよ! 12時からはじまって19時まで、途中何度か10分休憩が入りましたが、とにかく長かった! 振り返ると興味深い話ばかりであっという間だった気もするのですが、フィジカル的には疲れました。
寝てしまっている若者がたくさんいたけど、もったいないなー。こんな話に触れられる機会、とても貴重なのに!
作品に触れるというよりは作る人たちの思想に触れた1日だったので、後々いろいろ思い出したり思い付いたりして、時が過ぎた後でも考えることが生まれてきそうな気がします。
おまけ
kotarok先生がGeorgiaについて発見したことをマシューさんに報告している時の様子。そのうちkotarok先生が記事にすると思うので、楽しみに待つことにします。
会場の地図
大きな地図で見る- 投稿日:2010年4月 4日 23:59
- カテゴリ:セミナー、勉強会報告








