旅とわたし:アヴェイロ(ポルトガル共和国)

このエントリは『旅とわたし Advent Calendar 2016』の12日目です。

海と同じくらい、河川が好きだ。海辺の街が好きというよりは、水辺の街が好きなのだと思う。海から続く運河はまた格別によい。

運河といえば、思い出すのはアヴェイロ。ポルトガルの中ほどにあるアヴェイロという街は不思議な地形をしていて、海に面している潟から少し奥まったところに街が作られている。街には大きな運河が走っていて、モリセイロと呼ばれるカラフルな船がたくさん浮かんでいる。

私が訪れたときはフットボール欧州選手権オランダvsチェコ戦の真っ最中で、通りにはオランダ人とチェコ人が溢れていた。何を隠そう、私もその試合を見るためにわざわざアヴェイロまで行ったのだった。

運河にかかる橋

試合が夜の時間帯だと、昼の時間帯には通りや公園でのんびり過ごす人たちが多い。アヴェイロも例外ではなく、もはやポルトガル人を見かけないというくらい、欧州選手権の観戦客ばかりだった。オランダ人もチェコ人も長身の人が多いので、集団でいるとそれだけで迫力がある。

国によってはピリピリしていて近寄りがたい人たちもいるが、オランダサポーターはひたすらに陽気で、その場にいることを心から楽しんでいるように見えた。話しかけられたり、話しかけたり、いちばんおしゃべりしたのもオランダ人だったと思う。

運河に係留されているボートと通りに溢れるサッカー観戦客

ポルトガルは比較的坂が多い国。その中でも、アヴェイロはなだらかな道が多かった。街自体がこぢんまりとしていて、駅から中心地までの距離もさほど遠くない。時間さえ許せば、のんびり滞在したくなるタイプの街だ。なだらかな道を歩くと、白と青の外壁がよく目につく。このあたりの建物はアズレージョと呼ばれるポルトガルのタイルで装飾されているものが多く、独特の可愛らしさがある。白と青のコントラストがポルトガルの気候によく映える。

レプブリカ広場から市庁舎のある広場へ出ると、運河沿いの建物とは建築様式が異なっている。美術館のすぐ側にあるカテドラルもまた興味深い建物で、様々な時代の様式が入り混じっているようだ。何でも建てられた後に何度か改修があったようで、その時に付け足されていったのだろう。ファサードのアズレージョと彫刻はバロック様式、大聖堂前に立つ十字架はゴシック。その昔ポルトガルには様々な文化が輸入されてきたんだろうなぁと思わされる。

アズレージョの外壁

海風のせいか、建物自体が古いのか、いい感じに味の出た建物も目立つ。建物の雰囲気がとても好きで、上を見上げながら路地を散歩した。路地の建物の愛らしさは、他のどの街よりもお気に入りだ。他にもポルトガルの街をたくさん歩いたが、アヴェイロの路地は飛び抜けて印象的だった。

なのに、なぜかあまりたくさんは写真が残っていない。きっと上を見上げながらぼけーっと歩いていたせいだなぁ。とにもかくにも、ポルトガルと言われて真っ先に思い起こされるのは、アヴェイロで目にした建物たちだったりする。

錆が出て味わいのある建物

アヴェイロの景色の中にあるものは、とにかく気候に映える。ポルトガルの乾燥した空色。アズレージョの白と青。運河の鈍い水色。モリセイロの極彩色。壁の黄色。屋根のオレンジ。すべてがくっきりと主張をしながら、小気味のいい調和を保っている。その映え方が、不思議な郷愁を誘う。

旅の景色と料理の味は似ている、と思うことがある。ポルトガルで味わったごはんも、ちょうど建物と空のコントラストのように、甘い辛いがはっきりしていて、わかりやすい味がした。

建物と空のコントラスト

アヴェイロに再訪したい理由は実にシンプルで、普段の顔のアヴェイロを見てみたいからだ。

欧州選手権期間は他の国の欧州人で溢れ、異常なくらいお祭り騒ぎになる。前回訪れたアヴェイロも、ほぼオランダにいるような気持ちになるくらい、オランダ人のムードに支配されていた。そのうえ、滞在時間もそう長くなかったため、小さな漁師街の名物料理さえ食べる暇なく通り過ぎてしまった。

何より、アヴェイロの街の運河で船に乗らずに帰ってきてしまったのだ! あの美しいモリセイロに乗って、日がな一日潟や街を眺めていたい。次回はきっと、モリセイロに乗る。絶対にだ。

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